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SME(乳児重症ミオクロニーてんかん)と息子雄太

息子の持病の「癲癇」には非常に多くの種類が有り、SMEはその中のひとつで乳児期からその症状が現われ、しかも難治とされているものです。癲癇の中に占める割り合いが少ない反面、SME自体は非常に多様で発作抑制の薬剤の選択にも非常に時間がかかります。雄太の場合は1才で発病し、現在11才ですが、発作をある程度抑制できる薬が決まったのが6才前。薬剤選択に5年程かかったことになります。
同じ病気を持つ患者さんの治療の参考にしていただければと思い、雄太の発病から現在までの経過等をを記してみます。


初めての入院時
入院が年中行事になった頃
◆発病と入院
 発病は1才1ヶ月の時。両眼球の左側への運動から始まり、口周辺のひきつり、やがて全身のしゃっくり状の大発作。救急車で病院へ運ばれ、発作が治まるまでその時は1時間近くかかったでしょうか。そして即入院。この時が初めての発作だと当初は思っていましたが、実は親が発作と気付いていなかった小さい発作がその3ヶ月前に有ったのです。
 随分何回も左側を見るため「おい、雄太どうした?」と体をゆすると急に嘔吐し、その後泣き出すというのが2回程続き、熱を計ると微熱があったのでその時は風邪をひいたのだと思っていました。しかし、後にこの病気の事が分かってくると本当の発病は生後10ヶ月だったのだということが判明しました。(SMEの発病は通常6ヶ月前後とされているので雄太は少々遅かった)
  最初の入院時の診断は、発作後の検温で発熱も確認されたため、熱性痙攣だとのことで、親も一安心。しかしその後も発熱時、入浴時、騒いで遊んだ後等に発作が頻発。脳波にも癲癇特有の波形が現われ、抗てんかん薬の投与が始まりました(1才6ヶ月)。フェノバール、デパケン、テグレトールと試すも効果無く、大発作も月に4、5回となり、種々の経過、結果から3才前にSMEとの診断が下されました。4才位迄は1年の内半分くらいの日数は入院。薬の調整に明け暮れていました。

アレビアチン中毒時。視点が定まっていない。
臭化カリウムで発作が激減。小学校での自由研究発表。
◆薬剤選択
 抗てんかん薬の選択がこれほど難しいとは考えてもいませんでした。当時函館にはSMEに明るい医師が少なく、親の私達が本を取り寄せ、研究し、主治医とコミュニケーションをとりながら薬の調整をしていました。月に一度札幌医大の若井周治先生(雄太の癲癇がSMEだと判定してくれた)が診断にあたって下さり、色々試みましたが発作抑制迄には至らず、投与量の調整が難しいアレビアチンの投与にふみきりました。このアレビアチンは少しの増量で血中濃度が爆発的に上昇し、それによる副作用も半端じゃない薬です。
 投与を開始してから発作は4日に1回位の頻度になり、更に副作用による中毒症状で雄太は寝たきり状態。そして垂体外路症状(本人の意志にかかわらずタコの様に手足が動いてしまう不随意運動) 、眼振、構音障害(舌のもつれ)など副作用のオンパレード。しかも当時の担当医はこの重篤な副作用を見て「これは発作です」と言い切り、量を減らしながら投与続行。しかし発作は抑制されず、自力歩行もままならない状態のため投薬中止。次にエクセグランを試しました。発作の頻度は相変わらずでしたが、忌わしきアレビアチンが抜けていたため頭もスッキリし子供らしい活発な行動も見せてくれるようになりました。
 この頃4才になっていた雄太は4日に1回ペースの発作を抑えられずにいました。1年後の5才の時、母親が臭化カリウムの効果の記述を専門書で発見し、主治医に相談。エクセグランを抜きながら臭化カリウムの投与を開始しました。1日600mgという少ない量でしたが、雄太には合っていた様で発作が遠のいていき、11才の現在セレニカR600mg、臭化カリウム1,400mgで発作は1年に1回程度迄改善されています。


函館山登山もできるようになった9才の頃。
◆副作用について

 風邪薬を飲むと風邪の諸症状が緩和されますよね。これが薬の作用です。しかし、同時に眠気もやってきます。こいつが薬の副作用。市販の風邪薬程度でこれですから、てんかんの発作を抑えるキッツーい薬だと副作用も当然キッツーい訳です。
 雄太の場合、最初に投与したのはフェノバール(フェノバルビタール)でした。副作用は眠気、ふらつき、不穏、睡眠障害等がありますが、雄太には特に睡眠障害があらわれました。夜11時を過ぎても目を爛々と輝かせていた時期がけっこう長かったです。
 次に、フェノバール一剤では改善が無いためデパケン(バルプロ酸)を追加しました。この薬は投与初期に嘔吐、腹痛、逆に食欲増進による体重増加などの副作用ががありますが雄太には症状が出ませんでした。ただフェノバールとの併用によりフェノバールの血中濃度が増加し、眠気等が増すため、フェノバールの減量をしました。「稀に致死的肝障害がみられる」との記述にビビった事を覚えてますが、雄太は幸い大丈夫だった様です。ただこの病気の場合長期の薬物投与になりますので、定期的な肝機能のチェックは行っています。
 次にテグレトール(カルバマゼピン)ですが、フェノバールの場合と同様眠気やふらつきなどが出るとされています。少量づつ投与していかないと1〜2週間で急激に血中濃度が上がり、前述の副作用もあらわれます。また、雄太の場合薬に慣れる迄の間発作が頻発しました。この発作の頻発は、薬の増量や種類の追加等をしたときにしばしばおこりました。
 アレビアチン(フェニトイン)には参りました。少量の増薬で血中濃度が急上昇し大発作も頻発。その上副作用の嵐となりました。眼振、舌のもつれによる発音障害、歯肉肥厚、多毛、タコ踊り状の垂体外路症状、歩行障害。いわゆる寝たきり状態になり、当時の主治医は「これは副作用では無く発作です」となかなか投薬をやめず、私達は「長期の過剰投与で小脳に非可逆的損傷をもたらす」と言う副作用も知っていたので連日主治医に投薬中止をお願いしました。文献の「副作用として垂体外路症状がある」との記述を主治医に見せ、ようやく説得。(医師が親に説得されてどーすんのッて言う話でしょ、まったく)アレビアチンを抜くと発作も軽減、副作用も消えていきました。
 エクセグラン(ゾニサミド)も効き目はなく、副作用だけは一丁前にありました。精神症状として物音に対する怯え等がありました。この頃「発作になる前にカラスが見えた」と言っていました。

 いろいろ試し、その作用よりも副作用ばかりが気になってしまった感の抗てんかん薬でしたが、現在雄太の発作を抑制してくれている臭化カリウムは投与量が少量ということもあるのか目立った副作用は無く、発作の頻度も1年に1回程度迄改善されています。雄太の場合はこれに加えセレニカRも少量投与していますので、高アンモニア血症の検査のため前述の定期的血液検査を行っています。

 薬剤の選択、調整には時間がかかりました。雄太の場合は発作を抑える薬に出会う迄約5年、その約半分は入院生活でした。その間重篤な副作用に見舞われたことも有りましたが幸い適合する薬と出会えました。現時点での目標は1才の治療開始時と同様「1剤で、しかも可能な限り少量で」です。そのためにはこれからも主治医とのコミュニケーションを
密にし、親の側も薬やSMEに関する勉強を怠らないことが大切だと考えています。


成長の記録 日本てんかん協会道南分会より 雄太の日々の出来事

■関連ホームページ・・・静岡東病院  http://www.hosp.go.jp/~szec2/
■西新潟中央病院てんかんセンター http://www.masa.go.jp/epi/
■日本てんかん協会 http://www.normanet.ne.jp/~ww100032/index.htm



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